政治がわかるマンガ 61

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ここから、実際の国民投票についての法律を紹介しながら、マンガでは説明しきれなかった部分をもう少し詳しく説明しようと思います。国民投票での買収(※買収とは、お金などをあげて自分に有利になるように人を動かすこと)の決まりについて、もっと詳しく知りたくなった方はぜひお読みください。(私自身、法律に詳しくないので、全部正しいことが言えるかどうかわかりませんので、できればそれぞれがご自身で法律の文章を読んで確かめてほしいと思います。また、詳しいことがわかる方はコメント欄からぜひ教えてください。)↓

 

日本国憲法の改正手続に関する法律(=国民投票についての決まり)の109条1号によると、

「組織により、多数の投票人に対し、憲法改正案に対する賛成又は反対の投票をし、又はしないようその旨を明示して勧誘し、その投票をし、又はしないことの報酬として、金銭若しくは憲法改正案に対する賛成若しくは反対の投票をし若しくはしないことに影響を与えるに足りる物品その他の財産上の利益(多数の者に対する意見の表明の手段として通常用いられないものに限る。)若しくは公私の職務の供与をし、若しくはその供与の申込み若しくは約束をし、又は憲法改正案に対する賛成若しくは反対の投票をし若しくはしないことに影響を与えるに足りる供応説接待をし、若しくはその申込み若しくは約束をしたとき」に「三年以下の懲役若しくは禁固又は五十万円以下の罰金に処する」

と、決まっています。

法律の文章はわかりにくいのですが、最初に【組織により】と書いているので、何かのグループ(会社なども含まれると思います)に入っている人が、そのグループからの命令などで【多数の投票人】に、お金や物や職(働き口)などをあげて「そのかわり○○に入れてね」(「○○には入れないでね」も)などと頼むのは違反になるよ、ということのようです。

ということは、個人が一人で勝手に思い立って大勢の人にお金などを配って頼むのも違反にはならないというふうに読めますね。

そして、具体的に何人以上に配るとダメなのかははっきり決まっていません。

また、どれだけ高い金額ならダメなのかもはっきり決まっていません。とりあえず、「よ~し、そんなにまでして頼むのならそっちに投票してあげようじゃないの」と思えるぐらいの金額、とざっくりとだけ決まっているようです。

次回、少しマンガでも説明しようと思いますが、この法律は、憲法を変えたい人達が自分達に有利になるようにユルい決まりにしたというわけではなく、【憲法を変えるか変えないかを決める国民投票は、日本人全員の人生に関わる大問題なのだから、みんなで自由に遠慮なく話し合いができるように】という理由でユルい決まりになったそうです。(例えば飲み会で憲法改正の話で盛り上がって「賛成に入れろよ~」などと言った人がその飲み会代をおごってあげた場合などをいちいち違反ということにしてしまったら、国民投票や憲法の話をみんながしづらくなってしまう、みたいな理由です)

 

私はこの法律を知った時とてもビックリしたのですが、政治に詳しい人達の間ではCMが流し放題になる問題よりあまり問題視されていないように思います。

2018年4月の朝日新聞の特集記事によると、「個人的な買収は効果がうすい」と考えられているから、こういう自由でユルい決まりになった、というような説明がされています。(その朝日新聞の記事はこちら。←国民投票のことでみんなが遠慮なく話し合いができるように、という理由や、国民投票が政治家を選ぶ選挙と同時に行われた場合、買収についてのルールなどが違うのでごちゃごちゃになってしまうのでは?という別の問題点についても語られています)

国民投票は日本ではまだ一度も行われたことがないし、予想がつかない部分も多いので、個人的には「こんなユルい決まりで、ちゃんとみんなが自分の意見を出し合える投票になるのだろうか?」と心配になってくるのですが、これをお読みになったあなたはどう思われますか?

 

この法律の文章を全部読みたい方は、こちらの総務省からのリンクにある「日本国憲法の改正手続に関する法律(=国民投票の決まり)」のページをご覧ください。

109条と110条が今回のマンガに出てきた「組織的多人数買収及び利害誘導罪」について書かれた部分です。

また、127条128条129条が、違反に当たるような買収(そのパターンは少なそうですが)や他の不正行為(=投票でのインチキなど)があった場合に投票結果を無効(=なかったこと)にできるという決まりになっている部分なので、そちらも興味があれば読んでみてください。

 

※国民投票についての説明を最初から読みたい方はこちらからどうぞ。

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